グッドプラクティス企業 ポジティブアクションに取り組む企業にお聞きしました

第20回ダイキン工業株式会社

社長の発案とともに始まった女性の活躍推進
数々の取組により、女性従業員を貴重な戦力に

 住宅用・業務用空調機、フッ素化学製品、油圧・潤滑機器、航空機部品等の製造・販売事業を営むダイキン工業株式会社は、早期から仕事と育児の両立支援の取組を開始するとともに、2001年に総合職・一般職区分を廃止、2011年以降は女性活躍推進の取組を加速化し、積極的に女性管理職を育成・登用してきました。今回は、人事本部 ダイバーシティ推進グループ 女性活躍推進担当部長の池田 久美子氏に、同社が取り組んでいる、女性管理職育成・登用のための取組についてお話を伺いました。

人事本部 ダイバーシティ推進グループ
女性活躍推進担当部長
池田 久美子氏


2001年から女性が働き続け、
キャリアアップできるよう進めてきた女性活躍推進
2011年からはそれを土台として取組を一気に加速

―御社が女性活躍推進の取組を始めたきっかけは何でしょうか。御社における女性の活躍状況の変遷も合わせて教えてください。

池田氏  2016年4月現在、当社における女性従業員数は全体の約15%程度ですが、15年前の2001年は、わずか8.6%でした。ここ15年間で積極的に採用を進め、ようやくこの数値まできたというところです。女性管理職についても当時はたったの2名しかいませんでしたが、現在は37名まで増えました。しかし管理職全体では4%程度のため、まだまだ少ないと認識しています。
 年齢構成をみると、30代前半までの女性が全体の6割以上を占めるボリュームゾーンとなっています。これは、2005年頃から、意識して多くの総合職女性を採用したことによるものです。この世代が今、結婚・出産ラッシュを迎えています。当社としては、ボリュームゾーンのこの優秀な女性たちに、いかに結婚・出産というライフステージを超えて管理職に育っていってもらうかが大きな課題と認識しています。
 当社が女性活躍を全社的に展開し始めたのは2011年ですが、少子高齢化社会への懸念は以前からあり、2001年から人事部主導で徐々に取組みを進めていました。当時はなかなか意識が浸透せず、大きなムーブメントを起こすまでに至りませんでしたが、地道に取組んでいたからこそ、2011年の全社展開のスタートダッシュがうまくきれたと感じています。
 例えば、育児・介護休業法成立直後の1992年に、育児休暇制度(育児休業制度)とともに、妊娠してから子どもが就学するまでの間、時差勤務・フレックス勤務・短時間勤務が選択できる制度を導入しました。1992年当時から、就学前までの短時間勤務を認めていた製造業はそう多くありません。おかげで、出産後も働き続けることが当たり前の土壌ができたと考えています。それ以降も、当社の両立支援に対する考え方として、「単なる子育て支援」ではなく「キャリアアップにつながる支援」をしたいということにこだわってきました。長い休暇や長い短時間勤務は本人のキャリアにマイナスに働くリスクが大きいと考え、育児休暇は“原則子が1歳に達するまで”を崩していませんし、育児短時間勤務も“小学校1年の年度末まで”にとどめています。
 2001年には総合職・一般職区分を廃止しました。「女性=一般職」という管理職・女性の意識を払しょくするには非常に効果が大きかったと思っています。現在の管理職登用を見据えてキャリアブランクを極力つくらない女性活躍を推進できているのも、これらの取り組みを進めていたからだと実感しています。
 そして2011年1月、年始式典での会長の一言から女性活躍の全社展開がスタートしました。「グローバルで事業展開する上でダイバーシティマネジメントは欠かせない。当社は高齢者・障がい者の活性化は進めてきたが、女性の活躍は遅れている。これから本気で取り組む」と宣言したのです。外部機関による企業ランキングで、全体の評価は高かったのに、女性活躍に関する項目の評価だけが顕著に低かったということも影響したようです。翌日には6名の女性が集められ、会長直下のプロジェクトが発足し、「本気」の取組がスタートしました。自分もプロジェクトメンバーの一人でした。

会長直下に女性活躍推進プロジェクトが発足
6名のプロジェクトメンバーでヒアリングを実施して課題を分析

―女性管理職育成・登用を進めていくにあたり、具体的にはどのような課題がありましたか。

池田氏  「なぜ、女性管理職は増えないのか」――プロジェクトメンバーで分担して、当社の役員・管理職・女性従業員に対してヒアリングを実施し、収集した意見を分析したところ、大きく分けて2つの課題に集約できました。
 1つ目は、管理職のマネジメントに関する課題です。「女性は結婚・出産したらいずれ辞める」「女性は管理職にはなりたがらない」といった自身の体験・価値観からの思い込み、「叱ったら泣かれるから叱れない」「セクハラと思われる懸念があるから個人的なことまで聞けない」といった女性に対する遠慮・苦手意識があり、女性への期待や長い目で見て育てようという意識が男性部下に比べて希薄なのではないか。例えば、「女性をハードな修羅場に放り出すのは忍びない」「結婚適齢期だから海外出向を躊躇する」など、大変だけどすごく成長できる機会は、男性に回りがちでした。このように一旦育成の手を緩めてしまうと、5年・10年たつと、ものすごく大きな成長の差になる。会長の言葉を借りると、管理職の「優しさの勘違い」が女性の成長を阻害しているともいえました。さらに、“長時間働くことができる人こそ戦力”という意識が管理職にあり、時間に制約のある女性のマネジメントに慣れていないこと、女性活躍推進の必要性・メリットが腑に落ちておらず、「総論賛成各論反対」にとどまりがちであることも課題として挙げられました。
 そして2つ目は、女性従業員自身に関する課題です。現在の日本社会ではまだ、結婚・出産のタイミングで仕事を辞めて専業主婦になる、一度辞めて子どもが大きくなったら再就職するなど、女性にとっての選択肢が多様にあります。このため、結婚・出産を人生の節目と思いすぎる傾向があり、長い目でキャリアを築くという意識が弱く、短期思考になりがちでした。また男性よりも「自分に自信がない」人が多いし、身近にロールモデルがいないため、「この先、どのようにキャリアを築いていけばいいのかわからない」「結婚・出産を超えて働き続けられるのか不安」という声が多くの若手女性から上がりました。そして、女性の管理職が少ないため、女性の場合「超優秀な」「限られた人」しか管理職になれないという思い込みがあり、管理職やリーダーへの挑戦に消極的であることも課題でした。さらに、最近多いのは、配偶者の転勤・海外勤務によりやむを得ず退社するケースです。


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