WEBマガジン EVOLUTION vol.1 中小企業 アドバンス

第1回 株式会社マーケティングインフォメーションコミュニティ(MIC)

CCS(チャイルドケアスキーム)制度」を準備期間3ヶ月という急ピッチで導入し、“子育て第一、仕事第二”の職場環境を実現させた、株式会社マーケティングインフォメーションコミュニティ(MIC)。女性の就業継続だけでなく、実質的なコスト削減が図られ、全社的な生産性の向上にも繋がった実績を持つ、数少ない好事例企業です。代表取締役社長の増田信夫氏と、現在CCS制度を利用している柳沢慶美氏にそれぞれお話を伺いました。

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「辞めさせるわけにはいかない」
“子育て優先”社内公認制度を導入

増田信夫氏

株式会社マーケティングインフォメーションコミュニティ(MIC)

代表取締役社長

増田 信夫
株式会社マーケティングインフォメーションコミュニティ
代表取締役社長

PROFILE

昭和23年
函館市に生まれる
昭和48年
慶応義塾大学 法学部卒
株式会社 日本実業出版社入社
昭和50年
大手調査会社にて各種メーカー、ファーストフード、石油会社等の市場調査を担当
昭和61年
マーケティングインフォメーションコミュニティ(MIC)設立

男女の能力は同じ。創業当時から戦略的に女性を活用

 神奈川県横浜市に本社を置く株式会社マーケティングインフォメーションコミュニティ(MIC)は、カーケア関連ビジネスのマーケティングとコンサルティングを主な業務とし、さらにガソリンスタンドの経営、車の整備、カーレンタル業など、幅広く事業を展開。今年で創業25周年を迎える。
 「私と妻(現・専務)と、前の会社の部下の3人だけで立ち上げました。そんな小さい会社にきてくれる男性はいませんが、女性は自宅からの近さなどで選ぶ方もいますし、私自身当時から男女間に能力差はないと思っていましたので、女性を積極的に採用してきました」と増田社長。
 その後同社は、ガソリンスタンドの売上げを大幅に伸ばす独自のノウハウで急成長を遂げたが石油関連規制の自由化により、1995年には6万軒あったガソリンスタンドが4万軒を切るまでに減少。その影響を受けながらも、増田社長は持ち前のバイタリティで新規事業を開拓、自社の事業シフトを図りつつ、経営者向セミナーを全国規模で展開し、ガソリン業界をも牽引している。

子育て第一の「CCS制度」導入で、働きつづけられる職場に

 創業以来、女性活用を進めてきた同社。中小企業ながら女性社員の意識は高く、ライフサイクルとして結婚・出産が巡ってきたときも、育児休職を取得して戻ってきてくれた。しかし、残業が当たり前の職場環境のなかで、仕事と子育ての板ばさみになり、辞めていく女性社員の姿も見られた。
 「なんとかしなければとは思っていたのですが、あるとき3名の女性社員が同時に復職することになったのです。一度に3人も失うわけにはいかないと、思いきって“子育て第一、仕事第二”を公認する支援制度をつくりました」
 それが2006年4月に導入された「CCS(チャイルドケアスキーム)制度」(詳細は企業データ参照)。社長自ら考え、制度名も自分でつけた。思い入れは強い。同制度は子どもが小学校を卒業するまで利用可能。制度利用者(CCS社員)には残業の禁止、転勤・出張の免除などが適用されるが、注目点は違反して命令した上司に、減給・降格などが課せられるという徹底ぶりにある。
 「『君は母親(父親)である前に社員だろう』などといわれるケースもあったので、堂々と『私は社員である前に母親(父親)です』といえるようにしたかったのです。うれしいことに、これまでに違反した上司はゼロ、復職後に辞める女性社員はほとんどいなくなりました」

CCS社員の定時退社が伝播。コスト削減により利益率がアップ!

 女性社員の就業継続だけでなく、CCS制度の導入は「生産性の向上」という副産物をもたらした。CCS社員の定時退社がまず女性社員に、つぎに男性社員へと伝播。残業代が激減したことでコスト削減が図られ、利益率が上がったというのだ。それは数字の上でも確認できる。
 CCS社員はとくにコンサルタント部門に多い。同部門の1995年当時の粗利益は月/8000万円で、コストも同額の8000万円だったが、現在の粗利益は月/5000万円とダウンしながらも、コストが3400万円に抑えられ、なんと1600万円の収益が生み出されているという。
 「ガソリンスタンド数が4割減なので、粗利益が下がるのは当然ですが、そのなかで利益率が上がっているのは大きい。そのぶんを新規事業に投資することができます。結局、不必要な残業をしていたということです。私にも責任の一端はありますが、他の人が働いていると帰れない雰囲気があったのは確か。
 それがCCS社員がてきぱきと仕事をこなしてきちんと5時に帰るので、周りの女性は目からうろこだったといいます。残業しなければ評価されないと思っていたのに、どうやらそうではないらしいと。そこでまず女性たちが定時で帰るようになり、それを見た男性たちも定時で帰るようになったというわけです」

「殺伐とやれ」。苦言に込めた女性社員への期待と、「業界を活かしたい」熱い想い

 同社の平均勤続年数は女性社員のほうが長く、チームリーダー(課長相当職)に占める女性社員割合も3割を超えているが、増田社長は今後の課題として女性管理職の育成を挙げている。
 「私はCCS制度を一時的な子育てサポートというよりも、その先のキャリアアップのための制度と捉えています。しかし残念ながら、女性は責任が重くなるのを避ける傾向があり、和気あいあいは良いのだけれど、和が最大価値観になってしまう。男性に比べて上に立つ意識が薄い。教育訓練を体系的に受けていないことも、本当の意味の管理者になりきれない原因の一つ。一からマネジメントを教える必要性を感じています」
 この苦言の裏に、じつは女性社員に対する期待が込められている。増田氏は直営のガソリンスタンドを「スーパーステーション」と銘打ち、石油販売だけでなく、車検(整備)、石油以外の製品販売、価格革命を起こした格安レンタカー事業も展開。特に車検は驚くほどの安価を実現させ、日本中のガソリンスタンドに普及するに至り、「ニコニコレンタカー事業」も、3年以内に3000店導入を目指せるほどの、飛躍的な躍進を見せている。
 「たとえ石油の時代が終わっても車へのニーズがある限り、ガソリンスタンドは十分に儲けることができる。ガソリン業界で働く人たちの地位も向上させたい。次世代のビジネスモデルを推進するには、分社化をすすめ、部下たちにバトンを渡す必要があると考えていますが、私は女性にも渡したい。女性の社長も男性と同じように創出したい。女性は粘り強く、馬力もある。能力の高さはわかっている。あとは“意識”だけだと思っています」

CCS(チャイルドケアスキーム)制度の概要(一部抜粋) ※2006年4月導入

  • 対象-小学生以下の養育義務のある児童を同居養育している者。条件を満たしている正社員であれば誰でも申請し利用できる。利用したくない場合は利用しなくてもよい選択可能なスキーム。
  • 規定時間の決定、残業の禁止-勤務時間は9時~18時の間(30分刻み)の6時間以上8時間までとし、あらかじめ会社との間で決定する。規定時間外の就業は行ってはならない。行った場合は上司がその責を負う。
  • 転勤、出張等の免除-転勤、出張等育児に支障がある業務は命じられることはない。
  • 保育費等の補助-育児期間中の経済的支援を目的とした手当てを支給される。有料の保育所(園)や学童保育等へ託児依頼している場合は、実費の50%を補助として支給。ただし上限を月額7万円とする。
  • 給与-給与は同一業務に従事する正社員よりも制限が付せられる。時間的制約から最終責任を負う業務を担任できないからである。昇給・降給、賞与等は一般社員に準じてなされる。
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