WEBマガジン EVOLUTION vol.1 グッドプラクティス企業

第1回 大和証券株式会社

平成17年から本格的に女性活躍支援をスタートさせた大和証券株式会社。この5年間で女性の意識はめざましく向上し、エリア総合職・総合職を希望する女性や女性管理職が急増。男の職場だった法人部門においても、女性が半数を占めるまでに職域が拡大しています。これらの取組について、執行役員 企画・人事担当の日下典昭氏にお聞きしました。

役員に聞く

トップ自ら一人ひとりをよく見ています
女性の活用に対して本気なのだということです

日下 典昭氏

大和証券株式会社

執行役員 企画・人事担当

日下 典昭
大和証券株式会社
執行役員 企画・人事担当

PROFILE

昭和60年入社。名古屋支店、神戸支店、本店勤務を経て、平成12年に中野支店長に就任。その後、本店営業第一部長、大阪支店長等を経て、平成18年に人事部長に就任。平成21年に執行役員に就任、現在に至る。

トップの強いリーダーシップにより、平成17年から取組がスタート

-平成21年度・均等推進企業表彰において、「厚生労働大臣優良賞」を受賞されましたね。
日下氏 平成16年に鈴木茂晴が社長に就任したとき、優秀な女性が結婚や出産で辞めるのはもったいないし、本人のキャリアのためにもならないと、女性の活躍推進を強く打ち出しました。背景として、手数料の自由化などにより、ビジネスモデルが「手数料を稼ぐ」から「お客様の資産形成を総合的にコンサルティングする」に変っていったことも大きいですね。
 社長はいろいろな会合で、つねづね「長く働き続けられる環境をつくるから、絶対にやめないでほしい」と話しており、これまで就業継続やキャリアアップのための制度、そして実際に制度を利用できる職場づくりに力を入れてきました。女性自身もよく応えてくれているので、このたびの受賞となり、また経済誌等で「女性が働きやすい会社」として広く紹介されているのではないかと思います。

過去1年で400名以上がキャリアアップのため職制転向、女性管理職も大幅に増加

-証券会社の営業という職種で、女性で適性のある方は多いですか。
日下氏 多いですよ。新規開拓は大事な仕事の1つですが、お客様の信頼を得ることが重要で結局ハートの部分が基本になります。女性はコツコツ通うし、ていねいに仕事を進めるので、お客様からの信頼も厚く、今のビジネスモデルに向いているといえます。
半期に1回成績優秀者を表彰していますが、年々女性の受賞者が増えています。
 また女性自身の意識もかなり変わってきています。主にお客様対応や事務等を行う業務職からより幅広い業務を行うエリア総合職(転居を伴わない総合職)へ転向した女性は過去1年程度で400名を越え、エリア総合職から総合職へ転向した女性も、以前は年間1桁台だったのが30名とすごく増えました。
 当社の管理職に占める女性の割合はまだ5.7%ですが、人数は5年前の59名から105名に増えています。今後、管理職に昇格していく層を見ると、女性が3割~5割程度を占めており、数年後には女性管理職の割合は大幅に増えるのではないかと思っています。

ロールモデルや女性管理職の増加で、「上をめざす」に目覚める

-短期間でかなり女性の意識が向上していますね。そのための研修等を実施されているのですか。
日下氏 研修は、男女ともに頻繁に行っています。例えば、支店経営に必要な戦略立案やマネジメントスキル等を習得する研修を行って将来の支店長候補を育成したりもしています。 また、当社にはさまざまなロールモデルの方がいて、たとえばある地方支店で営業員を統括するマネージャーだった女性は、お子さんが高校生になったのを契機に総合職に転向し、単身赴任で首都圏で支店長をやっていますが、ご家族も応援してくれているそうです。 そして女性役員が2名(大和証券グループとしては4名)誕生したのも効果があったと思います。そのうちの1人は一般職からエリア総合職に転向して、支店長としての実績を出したうえで役員になっています。こういったロールモデルの存在や身近な女性管理職の増加によって、目に見える形で自分のキャリアを描くことができるようになり、上をめざすことに目覚めたのだと思います。

法人部門も女性が半数を占めるまでに

-「女性も活躍できる」ということが、実証されつつあるのですね。
日下氏 法人部門についても同じことがいえます。男女にかかわらず最初から法人部門に配属されることはあまりなく、個人営業をやったうえで、選ばれて法人部門に移ります。5年前まではまさに男の職域でしたが、今では全支店の法人部門約160名中80名が女性と、半分を占めるまでになっています。これは私自身も、すごいことだと思っています。
 育成という観点から見ても、法人部門で地方銀行や地方の上場会社を担当することにより知識・スキルの幅が大きく広がりますし、視野を広げてもらうために女性を本部に配属し、3~4年経験を積んだ後、再び支店の営業現場で活躍してもらうということも行っています。もちろん各支店の支店長や本部からも万全のサポートをしています。そこで実績を上げるかどうかは本人次第ですが、実績を上げ続ければ将来的には支店長のポストも見えてきます。
 5年前、女性の部室店長は3名だけという状況でしたが、現在は支店長が10名、本部の部室長が5名、営業部長と副支店長が2名の計17名になっています。トップ自ら一人ひとりをよく見ていますし、女性の活用に対して本気なのだということです。

辞められるのは会社の損失、とことん一人ひとりに対応する

-機会を与えられるだけでなく、結果を出す女性が増えているというのがすばらしいですね。最後に両立支援についてお聞きしたいのですが、就業継続のためには育児や介護、パートナーの転勤への配慮も必要になりますね。
日下氏 両立支援については多くの制度で法定を上回る対応をしています(企業データ参照)。短時間勤務は小学校3年生まで取得できるようにしていますが、現在28名の方が利用しています。またサポートデスク(育児・介護の相談窓口)も設置していますが、1年で100件近く問い合わせがありました。
 今はワーク・ライフ・バランス推進サイトを拡充していて、制度紹介はもちろんのこと、制度利用に関する質問等を聞けるようにしています。両立に関することだけでなく、キャリアに関する相談も受け付け、それに女性役員や女性支店長がアドバイスするなど、閲覧が増えて徐々に浸透してきているところです。
 また平成19年4月に配偶者の転勤に伴う勤務地変更制度を導入しましたが、累計で48名の方が利用しています。こちらは一番浸透している制度かもしれません。制度を利用して新店舗に異動した女性は、みなさんとても活躍してくれています。とにかく優秀な社員が多く、辞められるのは会社の損失なので、一人ひとりにとことん対応しています。

「女性が」から「男女ともに」働きやすい環境を推進

-証券会社は夜遅くまで働いているというイメージがありますが、「19時前退社」にも取り組んでいるそうですね。
日下氏 私自身、以前は朝早くから夜中まで働いていましたし、他社の方からも「本当にできているのですか?」と聞かれますが、平成19年6月に導入して以来、徹底してやっています。社長は「ワークハード、ライフハード」と言っていますが、勤務時間中は限られた時間で成果を出すという意識を強く持って効率的に仕事をして、あとは自己研鑽や家族との時間にあててもらうのが狙いです。
 最初は現場から猛反対を受けましたが、全国の支店長に毎日退社時間を申告してもらい、それを社長自らもチェックし、19時を超えている支店には私が直接電話をかけました。結局浸透するまでに1年ほどかかり、その間は本当に大変でしたが、社員一人ひとりが段取りを考えながら働くようになり、生産性も上がっています。
 また年次有給休暇の消化率も、平成19年度は36%だったのが、平成21年度には55%になるなど、「休みを取るのは当たり前」になってきています。
-全社的なワーク・ライフ・バランスが進むと、女性もより働きやすくなりますね。
日下氏 女性活躍支援にさらにワーク・ライフ・バランスの視点を加え、女性だけでなく男性も働きやすい環境をめざしています。男女ともとくに若手がすごい勢いで伸びてくれていますが、やはり会社にとって一番大事なのは社員です。今後も根っこの部分にたくさんの養分と水分を与えていきたいと考えています。

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