WEBマガジン EVOLUTION vol.1 グッドプラクティス企業

第1回 大和証券株式会社

ポストを得るには相応の実績が不可欠な証券会社において、相模原支店の初代支店長を務めていらっしゃる深田直子氏。仕事を続けるうえで「結婚・子育て」も必要だったという深田氏に、キャリアアップ、支店長としてのお話のほか、両立に対する思いなどをお伺いしました。

活躍している女性に聞く

高い目標、厳しい言葉を意識する自分
でも、期待されないよりずっといい

深田 直子氏

大和証券株式会社

相模原支店長

深田 直子
大和証券株式会社
相模原支店長

PROFILE

昭和61年入社。町田支店で一般職として勤務し、エリア総合職へ職制転向。その後、横浜駅西口支店、投資信託部、人事部での勤務を経て、平成21年に総合職へ職制転向。平成22年2月に相模原支店長に就任、現在に至る。

「やっと自分に見合う職制ができた」。満を持してエリア総合職へ

-最初に一般職として入社され、エリア総合職、総合職と職制転向されたのですね。
深田氏 入社時は長く勤めようと考えておらず、一般職を選びました。その後2人の子どもを出産したこともあって、なかなか総合職への転向は考えられませんでした。ですが、総合職の人と同じように営業をして、お客様にご提案して、ビジネスに対しても同じ気持ちをもっているのに、一般職ではできない領域の仕事がありました。
 私自身できるという自信をもっていただけに、エリア総合職(転居を伴わない総合職)という職制ができたときは、「やっと自分がやってきた仕事に見合う職制をつくってくれた」という感じでした。
 私の場合は幸い首都圏のエリア総合職でしたので、総合職に転向しなくても本部での経験を積むことができました。あえて総合職に転向しようと思ったのは、子どもたちがある程度の年齢になったこともありますが、単身赴任で東京へ出てきて赤羽支店長になった女性がちょうど同世代で、私も彼女のように制約を取り払って、会社の気運にもどんどん影響されて、もっといろいろなことをやってみたいと思ったからです。

与えられる目標は期待のあらわれ。期待されないほうがよっぽど怖い

-同世代の女性で上をめざす方がいるのは、よい刺激になりますね。証券会社の場合、やはりキャリアアップするに従って、実績への期待も上がっていくのでしょうね。
深田氏 そうですね。私が管理職になったとき、担当するお客様がまったく変わらない状態で、いきなり管理職としての目標を示され、厳しい言葉を掛けられました。その瞬間はすごくいやでしたが、「じゃあ、君には目標値を与えないよ」「あなたはずっと今までと同じ実績でいいですよ」と言われるのはもっといやです。会社から期待されなくなるほうが、よっぽど怖いと思います。
-自信と自負心があるからこそ、そう考えることができるのだと思いますね。管理職になられてから、何か気をつけていることはありますか。
深田氏 部下でいるときは上に応えることに必死で、応えること自体が楽しくて、モチベーションも上がりましたが、管理職になると発信する側に立たなければならない。それが一番の違いですね。今は相模原支店の支店長をしていますが、発信する側の立場を楽しめているので、よしっ、頑張ろうという気持ちです。

営業現場でも支店長としても、「女性であることは得」

-発信する楽しさ、支店長としても仕事の面白さとは、どういったところにあるのですか。
深田氏 “ある一言”や“ちょっとしたきっかけ”で部下が変わっていく。それを見ることができるのが、支店長の一番の魅力です。朝の会議で発した自分の言葉が微妙に違って伝わり、部下の1日が変わる場合もあるので、もちろん責任を感じます。お客様との出会いでがらっと表情が変わるなど、見ていて本当に興味深いですね。
 それに、以前は自分が担当するお客様にお会いするだけでしたが、今は自分が部下に与えた影響がそれぞれのお客様に届きます。私の部下は14名いますが、自分の影響力が14倍になるという、その広がり方はすごいと思います。
-相模原支店を利用されるお客様の反応はいかがですか。
深田氏 支店長になる際に、いろいろな方から、「男性支店長にあって自分(女性)にないところを無理に補おうとしないほうがいい」と言われているので、お客様に対しても自然体を心がけています。
 相模原支店は平成22年2月にできたばかりの新設店ですが、ライバル会社は数年前から出店していて、どなたもいかにも営業トップセールスマンという感じの男性なので、行く先々で、「あれっ、証券会社さんてこんな感じだったっけ?」とすごくびっくりされます。ですが、かえって警戒心を解いていただけますし、入り口部分では得だと感じています。

仕事と家庭、両方あったからこそ歩いてこられた

-しかも、2人のお子さんを育てながら支店長になられた。
深田氏 たしかに、よく「両立できるのですか?」と聞かれますが、私の場合は仕事と家庭、両方の足があったからこそ、何とか歩いてこられたと思っています。結婚して子どもができてよかったなと思うのは、家に帰ると仕事を一旦リセットできることです。というか、家事と育児に追われるのでリセットせざるを得ない。ストレスフルな仕事なので、独身のときは家に帰ってからも仕事のことばかり考えていましたし、すごいミスをしたときは眠ることができませんでした。あのままだったら今の自分はなかったかもしれません。
 その一方で、仕事も必要でした。上の子どもができたときは育児休職の制度がありませんでしたが、下の子どものときは2年間の育児休職が取れるようになっていて、1年9カ月取得しました。最初の1年はすごく楽しく過ごせたのですが、そのうち自分のパワーが全部夫と子どもに向かってしまい、遅く帰宅した夫に一生懸命話しかけたり、子どものことをすごく心配したり、妻として母親として行きづまっていくのを感じていました。それが復職したとたん、家庭のなかだけの価値観から解放され、夫の仕事を理解することができ、子どもについてもゆとりをもって考えることができたのです。

欲張って、「どちらもできる!」と思ってほしい

-それぞれをいきいきと続けていくためにも、仕事と家庭の両方が必要だったのですね。これからキャリアを積もうという若い女性にアドバイスをお願いします。
深田氏 今の若い女性をみても、「仕事でキャリアアップするか」それとも「子どもを産んで育てるか」という選択肢で、「自分はこちらを選ぶ」という方が多いですが、子どもを育てることと仕事をがんばることは全然違うフィールドなので、二者択一にする必要はないですよ。
 当時は、支店のなかで子どもがいる女性は私だけでしたし、制度が不十分で夜間保育園も利用していました。制度というよりも支店の皆さんに支えてもらってという状況でしたが、今は制度もあるし、子育てしながらキャリアアップしている女性がたくさんいます。ここは欲張って、「仕事と子育て、どちらもできる!」と考えてほしいと思いますね。

新相模原支店長として

-最後に、新相模原支店長として、読者の皆さんへのメッセージをお聞かせ下さい。
深田氏 政令指定都市として新たなスタートをきった相模原市は、さまざまな可能性を秘め、これからが期待される街です。こんなすてきな街で、初代支店長をさせていただけるのをとてもうれしく思っております。
 今後どれだけ相模原市のお客様に浸透していくことができるのか。まだなりたてで、試行錯誤の毎日ですが、支店の仲間14名とともに、地域の皆様に親しまれるお店をめざしたい。今まで「証券」という世界をよく知らなかったという方にも、ぜひ知っていただきたいですし、お客様に最初に愛され、最後までお世話をする証券会社になりたい。心からそう願っています。

インタビューを終えて

 トップと人事の本気の取組が、制度改革のみならず、企業文化を変えるほどの大きな意識改革を生み出しました。新入社員の女性達が「私も将来支店長になりたい」と夢を語っているというのも、大変うれしいお話です。厳しい時代を元気にする立役者は、そんなポジティブな彼女達かもしれません。7~8年後の女性管理職比率3割達成も夢ではない、と期待させてくれる好事例企業です。

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