WEBマガジン EVOLUTION Vol.4 中小企業 アドバンス

第4回 三州製菓株式会社

埼玉県最大手の米菓メーカーである三州製菓株式会社。平成16年度に埼玉県男女共同参画推進事業所として表彰、昨年には第4回埼玉県あったか子育て企業の奨励賞を受賞されました。代表取締役社長の斉之平伸一氏と、ご活躍されている女性お三方それぞれにお話を伺いました。

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「一人一研究」の発想力を経営に活かす
ポジティブ・アクション導入支援を受け取組を促進

斉之平 伸一氏

三州製菓株式会社

代表取締役社長

斉之平 伸一
三州製菓株式会社
代表取締役社長

PROFILE

1948年生まれ。1971年一橋大学卒。松下電器産業を経て、1976年三州製菓入社。1988年社長に就任。内閣府規制改革会議専門委員、日本経団連国際協力センター評議員、日本経団連中小企業委員、埼玉県教育委員会委員などを務める。著書に『3倍「仕事脳」がアップするダブル手帳術』(東洋経済新報社)、『脳力経営』(致知出版社)。

女性が主力となって商品を企画

 創業61年を迎えた三州製菓株式会社は、草加せんべいやあられなどの米菓の他、クッキーや半生菓子などの商品を製造しており、埼玉県ではせんべい・あられのトップメーカーとして生産高1位を誇っている。従業員は220名で、そのうち男性は51名、女性は169名である。商品企画を行っている企画室は、すべて女性となっている。
 「当社は本社を置く埼玉県を中心に関東一円に販売店をもっていますが、お客様はほとんどが女性です。企画は大事なセクションですから、お客様の目線に近い女性に企画を任せています」と代表取締役社長の斉之平伸一氏。
 新商品(3年以内に発売した商品)の売り上げ比率を全体の30%以上とすることを目標に、現在新商品100種類の開発を目指しており、すでに50種類以上の商品を開発。ヒット商品となっている「揚げパスタ」も女性からの提案で生まれた商品である。
 「パスタを揚げただけのお菓子ですが、それを商品化するのは簡単なようで難しい。大量生産しようとすると、揚げるとパスタ同士がくっついてしまうし、芯が硬くなってしまう。そこで工夫を重ね、自社で専用の機械から開発し、本格的に生産をはじめたわけです。現在は塩味や黒胡椒味など4種類の味で展開し、おかげさまで売り上げは順調です」

アシスタントマネージャーの6割以上が女性

 以前は男性のみだった工場の現場も、女性が増えつつある。女性が加わったことで作業がきめ細かく丁寧になったという。課長相当職以上の女性はまだいないが、係長相当職であるアシスタントマネージャーには課長相当職と同等の権限が与えられており、6名中4名が女性と、女性の割合が高い。男女差なく実力主義とし、意欲のある者、能力がある者に昇進・昇格のチャンスを与えている。
 「一方、女性が少ない部門は営業です。過去に女性が2人いた頃もありましたが、北海道から九州までの遠方のお客様にも対応するため、泊まり込みの出張は必須です。そのため現在では男性のみとなっています。ただ、できるだけ女性にも活躍の場を広げていってもらいたいと考えており、(財)21世紀職業財団からご指導いただきながら、まずは営業で女性の登用を進めていこうと取組を進めているところです」

面白いと感じることからクリエイティブな発想が生まれる

「一人一研究」発表風景 三州製菓では10年程前から「一人一研究」という発表の場を設け、従業員の声を聞き流すのではなく、その意見を活かして環境改善にも取り組んでいる。「一人一研究」は事業計画にも盛り込まれ、全従業員が毎年テーマを決定し、会社に提出。6月には部署ごとに選出された15組前後で発表を行う。テーマは自由で、内容は多岐に渡っている。過去には、ダイエットに成功した営業社員や、NHKの「プロジェクトX」になぞらえた「プロジェクト三州」という発表なども。
 「1組15分程度で、発表者の半数以上が女性です。個人の発表もありますが、基本的には同じ部門でのチームの発表が多いですね。中島みゆきのテーマソングを流したり、プレゼン能力も毎年驚くほどアップして、皆さん活き活きと発表しています。私も一番前で見ます。私と選考委員で採点し、金賞にはみんなで食事に行けるように金一封を用意しています。
 工場部門では、機械が重くてどうしても男性の手を借りなければできない作業があったのですが、ある女性が、自分の車がパンクしたときに車を持ち上げるジャッキにヒントを得て、その機械にジャッキをつけて女性の力でも簡単に動かせるようにしたら、作業の手を止めて男性を呼びにいくという手間がなくなり、作業時間の節約になったのです。その成果を発表して金賞を取りました。ちょっとした経験がアイデアにつながるなんて、すばらしいなと思いました。せんべいを反転する装置を考えたのも女性です」
 「会社に貢献するというだけは面白くないし、ノルマ、生産性、会社の利益だけを考えるのでは、どうしてもやらされ感になってしまいます。仕事以外でもいいですから、一つのことを一生懸命突き詰めていくというのは大切なことです。脳が面白く感じるところからクリエイティブなパワーが生まれるのではないかと思うのです。事務棟の社員は普段あまり接することがない工場の方の発表を見ることができますし、チームの個性がすごく出て従業員同士の刺激にもなっていると思います。最初は意見が合わなくても、目標に向かってまとまっていくのが日に日にわかりますし、チームのコミュニケーションも密になります。発表の最後には、みんな『このチームでよかった』と言うのです。見ているほうも感動しますよ」

人の仕事も理解することで、コミュニケーション力が高まった

 昨年には埼玉県の「第4回あったか子育て企業賞」の奨励賞を受賞。評価の一つでもある「一人三役」の推進では、担当者が休んでも他のメンバーが仕事の一部を代行できるように、自分以外の仕事も教わるという体制を構築している。
 「最初は、誰かが休んだからといって仕事が滞らないようにと始めた取組なのですが、他人の仕事を理解するようになると、相手への理解も深まり、お互い様という意識が芽生え、それが結果的には残業が減って休みやすい環境づくりにつながったということがすごく大きかったと思います。仕事以外の見えない部分も円滑にコミュニケーションをとりあうきっかけになりました」
 毎年配布する社員手帳には、社員の有給休暇取得予定が記載されている。あらかじめ有給休暇の希望をとってスケジュール立てすることで、社員それぞれができるだけ計画的に有給休暇を消化できるようにしているもので、上司がいないとその日は社員が動けないということがないように、仕事の予定も計画することができる。
 「有給をできるだけ積極的に取ってもらって、誕生日には家族と一緒に食事に行ったりしてもらいたいですね」

その人なりの生活も大切にしながら活躍してもらいたい

 両立支援については、現在、企画室のアシスタントマネージャーが1年間の育児休業を取得中で、9月に復帰予定。
 「『揚げパスタ』を企画したのはこの女性です。これからもどんどん新しいものを考えていただきたいので、職場復帰後もぜひ活躍してもらいたいと思っています」
 2006年男女共同参画推進委員会発足。2007年と2008年には、(財)21世紀職業財団が指定する職場風土改革事業に取り組む。総務アシスタントマネージャーの板垣氏が委員長となり、営業の男性1名と工場の男性1名、企画の女性1名で構成。委員は1年間男女共同参画の推進を担当し、年間計画を立て、その結果について掲示したり、アンケートをとるなど周知徹底に取り組む。また、育児・介護およびハラスメントの相談窓口も設置。
 「これからは育児だけでなく、介護が増えてくることも考えていかなければなりませんし、育児・介護休業以外にも、例えば自己研鑽のためなど、その人なりのワーク・ライフ・バランスを認めていけるような職場環境づくりを考えていく必要があります。(財)21世紀職業財団の研修で学びながら、そうした体制も取り入れるようにしていきたいですね」

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