「『見える化』支援ツール」で自社の現状把握を

ここで取り上げてきた「『見える化』支援ツール」とは、賃金や管理職数など、企業の中での男女の状況に関する数値把握をすることで現状を「見える化」し、そのことを通じて、女性の能力発揮の阻害要因があるのか、あるとすれば何をすればよいのかを発見するためのツールです。こうした状況は業種による差が大きいことから業種別に開発が行われており、2011年度に百貨店業、スーパーマーケット業のツールが開発されました。なんとなく男女で違いがある、ということでは具体的な対応策を検討することができないので、業界の平均値を参照しながら、自社の雇用管理のどのステージで問題が発生しているのかを把握することができるように工夫されています。こうしたツールを使うことで、自社の業界内での取組の進捗を知り、今後の取組の方向性を知るヒントにするとともに、経年比較をすることで取組の評価をすることができます。ただし、個々の数値だけから一律に判断してしまうのではなく、全体を俯瞰してどこに重要な問題がありそうかを検討することが重要です。

特にこのツールは、女性の「定着」と「活躍(男女均等)」の二つの側面から現状を明らかにしようとしている点がポイントです。女性の勤続は伸びているけれども補助的な仕事が中心で女性が活躍しているとは言い難い、逆に、バリバリ働いている女性が増えてきたが育児などを理由に辞めていってしまう、など、「定着」と「活躍」のバランスが取れていない企業も少なくありません。定着を進めるための両立支援策等の取組と、女性の能力に期待して育成・登用を積極的に進めていく取組、この二つの取組がバランスよく進められることが重要です。

小売業の今後を担う人材

通信技術の革新等を背景に、モノを売る形態が多様化し、小売業も従来型の店舗を主体とする販売形態だけでなく、多様な形で消費者と結びつくようになってきました。小売業にとっての顧客である消費者のライフスタイルや消費ニーズは多様化し、小売業もこうした社会の変化に対応したビジネス展開が求められてきています。従来型の店舗を主体とする小売りの形態は一定割合残っていくと考えられますが、さらに、新しい顧客像、新しい小売形態に対応する経営、そこから派生する新たな人材戦略が小売業界に求められることでしょう。

女性活躍推進を「ダイバーシティ=多様性を活かす経営戦略」の視点から取り組む企業が増えていますが、小売業においても、従来の顧客目線としての女性の能力活用に加え、多様な価値観や生活経験を経営資源として活かしていくことが重要になると考えられます。人の管理は画一的な方が効率的でコストも安いのですが、画一性を求めることにより多様な発想が出にくくなったなどの弊害も指摘されます。女性の活躍を進めることを一つの突破口にして、新しい発想で小売業の今後を考えることにつなげることが重要です。また、働く側も、小売業の将来を見据えて、自分の専門性を深めて組織に貢献する意識や姿勢が求められます。育児をしている女性は、周囲に迷惑をかけているのではないかとの遠慮から自分の将来の希望を周囲に言い出せないといった意識になりがちですが、将来の展望をもってそれを組織側とすり合わせながら今の育児期を乗り切る、といった主体的なキャリア開発が必要となるでしょう。

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